「歯科衛生士になるには、どんな学校に行けばいい?」
「専門学校と大学、どっちがいいの?」
歯科衛生士に興味を持った高校生や、
進路について一緒に考えている保護者の方なら、
一度は迷うところだと思います。
私は2014年に歯科衛生士の資格を取得し、
歯科医院、行政、教育など、
さまざまな立場で歯科衛生士として働いてきました。
現在は、
歯科衛生士国家試験を目指す学生の支援をしています。
その経験から最初に伝えたいのは、
「歯科衛生士になれる学校なら、どこでも同じ」ではない
ということです。
資格は同じでも、
学校生活や学べる環境、
卒業までに得られる経験には違いがあります。
今回は、
歯科衛生士になるまでの流れと、
専門学校・短大・大学を選ぶときに考えてほしいことをお話しします。
歯科衛生士になるには?
歯科衛生士は国家資格です。
歯科衛生士になるためには、
歯科衛生士を養成する学校で必要な教育を受け、
卒業して国家試験の受験資格を得たうえで、
歯科衛生士国家試験に合格する必要があります。
現在、歯科衛生士の養成課程はすべて3年以上です。
進学先としては主に、
- 専門学校
- 短期大学
- 4年制大学
があります。
つまり、
高校を卒業してすぐに国家試験だけを受験し、
歯科衛生士になることはできません。
まずは、
養成校で歯科衛生士になるための知識と技術を学びます。
学校では「歯のこと」だけを勉強するわけではありません
歯科衛生士という名前から、
歯について専門的に勉強する学校、
というイメージを持っているかもしれません。
もちろん、
歯や口腔について詳しく勉強します。
でも、
それだけではありません。
人体の構造や機能。
病気が起こる仕組み。
薬。
栄養。
公衆衛生。
歯科医療。
歯科予防処置。
歯科保健指導。
歯科診療補助。
そして、
実際の医療現場などで学ぶ実習。
歯科衛生士は医療職なので、
人の身体や病気についても学ぶ必要があります。
「歯の掃除をする仕事だから、歯のことだけ覚えればいい」
というイメージで入学すると、
勉強する範囲の広さに驚くかもしれません。
専門学校と大学、何が違う?
ここは、
進路相談でも気になる人が多いところです。
先に結論を言うと、
「専門学校と大学、どちらが上か」で考えない方がいい
と私は思っています。
どちらからでも、
必要な課程を修了して国家試験に合格すれば、
歯科衛生士になることができます。
ただし、
学校生活や学び方には違いがあります。
専門学校|歯科衛生士になるための専門教育に集中しやすい
歯科衛生士養成の専門学校には、
3年制の学校が多くあります。
歯科衛生士になるために必要な専門知識や技術、
臨床・臨地実習などを学び、
国家試験を目指します。
専門学校の魅力の一つは、
歯科衛生士になるという目的が明確な環境で学べること
だと思います。
一方で、
限られた期間の中で、
講義、
実習、
試験、
国家試験対策まで進んでいくため、
「3年間なら楽」
という意味ではありません。
むしろ、
かなり密度の高い学生生活になる学校もあります。
短期大学|3年間で学びながら短期大学士を取得する道
歯科衛生士を養成する短期大学もあります。
3年間で歯科衛生士に必要な専門教育を受け、
卒業時には短期大学士の学位を取得します。
専門教育だけでなく、
短期大学としての教育環境の中で学ぶことになります。
ただし、
専門学校と短大は、
「名前が違うからこちらの方が絶対にいい」
という選び方をするものではありません。
実際に、
どんな授業があるのか。
実習先はどこなのか。
国家試験対策はどう行われているのか。
学生への支援体制はどうなっているのか。
学校ごとに確認することが大切です。
4年制大学|歯科衛生士の専門教育+大学での学び
4年制大学にも、
歯科衛生士の国家試験受験資格を得られる学部・学科があります。
大学では、
歯科衛生士として必要な専門教育に加えて、
大学によって、
より幅広い教養科目や研究などに触れる機会があります。
卒業すると、
学士の学位を取得できます。
大学院への進学や、
研究・教育などに関心がある人にとっては、
その先を考えやすい環境になることもあります。
一方で、
4年間通うことになるため、
時間や学費についても考える必要があります。
「大学の方が上だから」
という理由だけで選ぶのではなく、
4年間で何を学びたいのか
まで考えて選んでほしいと思います。
専門学校と大学、結局どっちがいい?
これは、
人によります。
私は、
学校名だけでは決めない方がいいと思っています。
例えば、
「できるだけ早く歯科衛生士として働きたい」
という人と、
「歯科衛生士の資格だけでなく、大学で幅広く学びたい」
という人では、
選び方が変わります。
また、
同じ専門学校でも、
教育体制は違います。
同じ大学でも、
カリキュラムや特色は違います。
だから、
専門学校か大学かを決める前に、
その学校で自分が3年・4年間過ごせそうか
を見てほしいと思います。
学校選びで、私ならここを見る
国家試験を目指す学生を見てきた立場から、
学校を選ぶときに確認してほしいことがあります。
1.国家試験の合格率だけで決めない
学校のホームページを見ると、
国家試験合格率が掲載されていることがあります。
もちろん、
確認していい数字です。
でも、
「合格率が高い=自分にとって一番いい学校」
とは限りません。
数字を見るなら、
誰を母数にした合格率なのか。
国家試験までにどのような支援があるのか。
成績が伸びない学生には、
どんな対応をしているのか。
そこまで知りたいところです。
2.実習環境を見る
歯科衛生士になるまでには、
実習があります。
学校内で行う実習だけでなく、
実際の医療現場などで学ぶ機会もあります。
どのような場所で実習するのか。
実習について、
どんな支援があるのか。
ここは、
オープンキャンパスなどで聞いてみてもいいと思います。
3.「つまずいた学生」への対応を見る
私は、
ここをかなり重要だと思っています。
成績上位の学生が伸びる学校なのか。
それだけではなく、
授業についていけなくなった学生に、
どんな支援があるのか。
補習はあるのか。
相談できる先生はいるのか。
国家試験対策はいつ頃から始まるのか。
学校生活では、
ずっと順調に進めるとは限りません。
だから、
困ったときにどうなる学校なのか
も確認してほしいと思います。
4.通学と学費を現実的に考える
学校選びでは、
「行きたい」という気持ちだけではなく、
3年・4年間続けられる条件かどうかも大切です。
学費。
教材費。
実習にかかる費用。
通学時間。
一人暮らしが必要なら、
家賃や生活費。
保護者の方とも、
入学前に確認しておきたいところです。
毎日の通学が大きな負担になると、
勉強や実習にも影響します。
5.オープンキャンパスでは「雰囲気」以外も見る
オープンキャンパスでは、
校舎がきれいだった。
先生が優しかった。
先輩が楽しそうだった。
そういう印象も大切です。
でも、
それだけで決めないでほしいと思います。
例えば、
「国家試験対策はいつから始まりますか?」
「成績が下がった学生へのフォローはありますか?」
「実習先はどのように決まりますか?」
「卒業後はどんなところに就職していますか?」
「途中で勉強についていけなくなった場合、どんな相談ができますか?」
こうした質問もしてみてください。
入学することではなく、
卒業して歯科衛生士になるところまで
考えて学校を見ることが大切です。
大学に行かないと、将来の選択肢が狭くなる?
これも、
気になる人がいると思います。
私は、
「専門学校を卒業したら、その後ずっと歯科医院でしか働けない」
とは考えていません。
歯科衛生士になった後も、
経験を積むことができます。
働きながら、
別の分野を学ぶこともできます。
私自身も、
歯科衛生士として働いたあと、
大学で医療福祉経営について学びました。
最初の学校選びだけで、
その後の人生がすべて決まるわけではありません。
ただ、
将来やりたいことがすでに明確なのであれば、
そこから逆算して進学先を考えることには意味があります。
保護者の方へ|「国家資格だから安心」だけで進路を決めないでほしい
歯科衛生士は国家資格です。
だから、
お子さんから、
「歯科衛生士になりたい」
と言われたとき、
資格が取れるなら安心、
と思うこともあるかもしれません。
でも、
資格取得までには、
専門的な勉強と実習があります。
そして、
最後には国家試験があります。
入学できるかだけではなく、
その学校で卒業まで学び続けられそうか。
ここまで一緒に考えてほしいと思います。
反対に、
今の時点で、
「この子に歯科衛生士が務まるのかな」
と心配しすぎる必要もありません。
学校は、
歯科衛生士になるために学ぶ場所です。
最初から、
歯科衛生士として完成している必要はありません。
歯科衛生士になった先にも、いろいろな道があります
歯科衛生士になると、
歯科医院だけでなく、
病院、
行政、
訪問歯科、
高齢者分野、
教育など、
経験や条件によってさまざまな働き方があります。
私自身も、
歯科医院からスタートし、
行政、
教育、
マネジメント、
現在の国家試験支援へと、
仕事を変えてきました。
だから、
高校生の今、
「将来どんな歯科衛生士になるか」
まで決めていなくてもいいと思います。
まず、
歯科衛生士という仕事を知る。
そして、
自分がどんな環境で学びたいのかを考える。
学校選びは、
そこから始めてみてください。
最後に
歯科衛生士になるには、
養成校で学び、
国家試験を越える必要があります。
専門学校。
短期大学。
4年制大学。
選択肢はいくつかあります。
でも、
大切なのは、
「どれが一番いい学校か」
ではありません。
自分は何を学びたいのか。
どんな環境なら学び続けられそうなのか。
そして、
歯科衛生士になった先に、どんな可能性があるのか。
そこまで見ながら、
進路を考えてみてください。
学校選びは、
国家試験よりずっと前にするものです。
でも、
その選択の先には、
歯科衛生士としてのスタートがあります。
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書いた人

都谷森うらら
歯科衛生士国家試験専門・パーソナル伴走型サポート「はぐもぐ」代表。
2014年に歯科衛生士資格を取得。歯科医院での臨床、行政の保健センター、歯科衛生士の教育・育成、マネジメントなどを経験。日本福祉大学 医療福祉経営学部卒業。
現在は、歯科衛生士国家試験を目指す受験生の学習設計・判断・伴走を行っています。



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