「授業についていけない」
「覚えることが多すぎる」
「周りは分かっているのに、自分だけ分からない」
歯科衛生士の学校に入って、
そんなふうに感じている人もいると思います。
そして、
勉強がうまくいかない状態が続くと、
だんだん別の不安が出てきます。
「私、歯科衛生士に向いていないのかも」
でも、
私はこの2つを、
すぐに同じ問題として考えない方がいいと思っています。
勉強についていけないことと、
歯科衛生士に向いていないことは、
同じではありません。
歯科衛生士の勉強は、思っていたより広い
歯科衛生士になるための勉強は、
歯のことだけではありません。
解剖学。
生理学。
病理学。
微生物学。
薬理学。
栄養。
公衆衛生。
法律。
もちろん、
歯科に関する専門科目もあります。
入学する前に、
ここまで幅広い勉強をするとは思っていなかった人もいるかもしれません。
高校までの勉強とは、
言葉も違います。
聞いたことのない専門用語も、
一気に増えます。
だから、
最初から全部すんなり理解できる人ばかりではありません。
「覚えられない」から始まることもあります
私が国家試験を目指す学生を見ていても、
「覚えられません」
という相談はよくあります。
でも、
実際に話を聞いていくと、
全員が同じ理由で覚えられないわけではありません。
そもそも内容を理解できていない人。
覚える範囲を絞れていない人。
一度見ただけで覚えようとしている人。
復習のタイミングが作れていない人。
勉強する内容の優先順位が分からない人。
何時間も机には向かっているけれど、
ほとんどの時間をノート作りに使っている人。
全部、
本人からすると、
「私は覚えるのが苦手」
に見えるかもしれません。
でも、
中で起きていることは違います。
「勉強が苦手」という言葉は、少し大きすぎます
これは、
学生さんと話すときに私が気になる言葉の一つです。
「私、勉強苦手なんです。」
本当にそうでしょうか。
例えば、
解剖学の位置関係が理解できないことと、
法律の数字を覚えられないことと、
長い問題文を読み取れないこと。
全部、
必要な力が違います。
それを全部まとめて、
「勉強が苦手」
としてしまうと、
何を変えればいいのか分からなくなります。
だから私は、
できないことがあったときほど、
「何ができないのか」を小さくして見ること
が大切だと思っています。
周りと比べると、自分だけ遅れているように見える
学校にいると、
どうしても周りが見えます。
テストで高得点を取る人。
先生の質問にすぐ答えられる人。
実習でも要領よく動ける人。
自分が苦戦しているときほど、
そういう人が目に入ります。
でも、
国家試験の受験生を見ていると、
学生時代ずっと成績が良かった人だけが、
すんなり国家試験まで進むわけでもありません。
逆に、
最初はかなり苦戦していても、
自分に必要な勉強の仕方が分かってから変わる人もいます。
大事なのは、
「今、周りよりできているか」
だけではありません。
自分ができていないことを把握して、修正できるか。
ここは長い受験勉強でも重要になります。
ただし、「大丈夫」と言いたいわけではありません
ここは、
誤解してほしくないところです。
「勉強についていけなくても大丈夫」
と言いたいわけではありません。
分からないことが積み重なれば、
当然、
その後の授業も分かりにくくなります。
特に歯科衛生士の勉強は、
前に習った知識を使って、
次の内容を理解する場面があります。
分からない状態を放置して、
「いつか分かるだろう」
と進み続けることには、
リスクがあります。
だから、
できないことを責める必要はないけれど、放置もしない。
私はこの考え方を大切にしています。
「もっと頑張る」で解決しないこともあります
テストの点数が悪かった。
授業が分からなかった。
すると、
「もっと勉強しなきゃ」
と思います。
もちろん、
勉強量が必要なこともあります。
でも、
すでに何時間も勉強しているのに、
結果につながっていない人もいます。
その場合、
必要なのは、
さらに時間を増やすことではないかもしれません。
何を覚えるのか。
どうやって復習するのか。
どこまで理解すればいいのか。
何を後回しにするのか。
そういう判断が整理されるだけで、
勉強の進み方が変わることがあります。
私自身、「教える」だけでは変わらない学生を見てきました
私はこれまで、
歯科衛生士国家試験を目指す学生への指導に関わってきました。
その中で、
授業をすればすべて解決するわけではない、
ということも経験してきました。
説明すれば理解できる。
でも、
次の授業までに何をすればいいか分からない。
その場では解ける。
でも、
一週間後には忘れている。
本人は頑張っている。
でも、
優先順位がずれている。
そういう学生に、
さらに説明を増やすだけでは変わりません。
必要だったのは、
その人が今、
どこで止まっているのかを見ること
でした。
これが、
今のはぐもぐで「教えること」だけではなく、
見立てや学習設計を大切にしている理由の一つです。
歯科衛生士に向いているかどうかは、テストだけでは分かりません
私は、
学校の成績だけで、
「歯科衛生士に向いている・向いていない」
を判断するのは難しいと思っています。
歯科衛生士の仕事では、
知識はもちろん必要です。
でも、
患者さんの話を聞くこと。
小さな変化に気づくこと。
分かりやすく説明すること。
丁寧に作業すること。
他の職種と一緒に働くこと。
自分で学び続けること。
さまざまな力を使います。
学生時代の一つのテストで、
そのすべてが測れるわけではありません。
でも、国家試験を越えるためには勉強が必要です
ここが少し難しいところです。
「成績が悪い=歯科衛生士に向いていない」
ではありません。
でも、
歯科衛生士になるためには、
国家試験に合格する必要があります。
だから、
「向いているかもしれないから、そのうち何とかなる」
でもありません。
仕事への適性と、
国家試験を越えるための準備は、
分けて考える必要があります。
歯科衛生士になりたいのであれば、
今できていないことについては、
やはり何らかの修正が必要です。
「辞めたい」と思う前に、一度分けて考えてみてほしい
勉強についていけない。
学校がつらい。
テストが怖い。
そういう日が続くと、
「もう辞めたい」
と思うこともあるかもしれません。
そんなとき、
一度だけ、
分けて考えてみてください。
歯科衛生士になりたくないのか。
それとも、
今の勉強がうまくいかなくて苦しいのか。
この2つは、
似ているようで違います。
もし後者なら、
変えられるものが残っている可能性があります。
保護者の方へ|「もっと勉強しなさい」の前に見てほしいこと
お子さんの成績が下がったり、
「授業についていけない」
と言われたりすると、
保護者の方も不安になると思います。
そして、
「もう少し勉強したら?」
と言いたくなるかもしれません。
でも、
すでに本人が頑張っている場合、
勉強時間を増やすだけでは変わらないことがあります。
何につまずいているのか。
本人はそれを把握できているのか。
今の勉強方法で改善できそうなのか。
そこを見る必要があります。
頑張っているかどうかと、
うまく進められているかどうかは、
別の問題です。
最後に
歯科衛生士の勉強についていけない。
それだけで、
「自分は歯科衛生士に向いていない」
と決めなくてもいいと思います。
でも、
分からない状態をそのままにしていい、
という意味でもありません。
できないことを責めない。
でも、
できない理由は確認する。
必要なら、
勉強のやり方を変える。
それでも難しければ、
誰かに見てもらう。
そうやって、
一つずつ判断していけばいいと思います。
歯科衛生士になるかどうかと、
今の勉強がうまくいっているかどうか。
一度、
分けて考えてみてください。
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書いた人

都谷森うらら
歯科衛生士国家試験専門・パーソナル伴走型サポート「はぐもぐ」代表。
2014年に歯科衛生士資格を取得。歯科医院での臨床、行政の保健センター、歯科衛生士の教育・育成、マネジメントなどを経験。日本福祉大学 医療福祉経営学部卒業。
現在は、歯科衛生士国家試験を目指す受験生に対し、一人ひとりの学習状況を見立て、必要な学習設計と伴走を行っています。


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